2017年度 活動報告News 2017
インドの国際細胞生物学会で発表
分子遺伝部門の古家野孝行研究員が1月25日から31日まで、インドで開催された国際細胞生物学会でポスター発表を行いました。
学会が開催されたのはデカン高原の真中にあるハイデラバードという都市で、首都デリーから飛行機で2時間ほどかかります。人口約700万人で、イスラム教徒が多いインドでも少し特異な街でした(インド全体では8割くらいがヒンドゥー教徒)。最高気温は30ºC近くありましたが、非常に乾燥しており、長袖のTシャツで丁度良く過ごせました。
学会では、ノーベル賞受賞者を含む、世界のトップサイエンティストの発表を聴くことができました。特に、最新の顕微鏡技術による細胞内部の構造や分子の詳細な観察には感銘を受けました。私は初日と2日目に「Analysis of the impact of cell cycle on renal fibrosis」という演題でポスター発表を行いました。発表には20人を超える多くの聴衆が来てくれ、かなり盛況でした。隣の演者には、「君のポスター人気だね。そのせいで私のとこに人が来ないよ…(笑)」と言われてしまうほどでした。細胞生物学会であるので、腎臓や線維化といったテーマはあまり注目されないと思っていましたが、細胞周期などの概念を組み合わせたことが、多くの人の興味を集めることにつながったのかなと思っています。
これからもオリジナルな視点からの研究を進め、腎臓病の発症メカニズムの解明に向けて、研究をしていきたいと思います。
https://m.youtube.com/watch?v=-EiGcE3On2w
古家野研究員のインド珍道中記もあわせてご覧ください。(18.03.02追加)
研究成果がNature Communicationsに掲載
東京大学の山元孝佳研究員と平良眞規准教授、基礎生物学研究所の三井優輔助教と高田慎治教授、そして重井医学研究所分子遺伝部門の松山誠室長などとの共同研究グループは、アフリカツメガエルの胚を使ってWntタンパク質の分布を詳細に検討し、その分布にヘパラン硫酸という糖鎖が関わることを、世界で初めて明らかにしました。
本研究成果は2017年12月7日、英国のNature系姉妹紙である科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
詳細は下記のHPをご覧ください。
東京大学
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2017/5675/
基礎生物学研究所
http://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2017/12/07.htm
松山室長が研究助成を受賞
分子遺伝部門の松山誠室長が、両備ホールディングスが主催している両備てい園記念財団から研究助成を受賞し、10月10日(火)に行われた贈呈式に出席しました。
授賞となった研究テーマは「新たなゲノム編集技術を用いた腎臓病モデルラットの開発」です。
松山室長は、今回が2度目の受賞となります。また、昨年度は分子遺伝部門の古家野孝行研究員が受賞しており、重井医学研究所としては2年連続となりました。
※ていは木へんに聖
今年も開催!夏休み科学実験教室
夏休み期間中に、小学生と高校生を対象に「たまねぎからDNAをとってみよう!」と題して科学教室を開催しました。特に今年は、研究所のホームページを見て、岡山市興除学区の小学生達が新たに参加してくれました。
その① 興除学区の小学生
8月8日(火)の午前中には、興除学区(東疇・興除・曽根の3つの小学校)から児童10名と保護者11名が研究所を訪れました。先ほども述べたように、研究所のホームページを見て、毎夏開催している科学教室に興味を持っていただき、私達にもお願いできないかと問い合わせをしてくださいました。保護者の方から「子供がイキイキしていた」「貴重な体験ができた」との喜びの声を聞くことができました。
その② 小児療育センターの子供たち
8月8日(火)の午後からは、研究所附属病院小児療育センターとの共催で「夏休み1日科学教室」を開催しました。この企画は小児療育センターに通う子供たちを対象に実施しているものです。今年は12名の小学生とその保護者・兄弟が参加してくれたのですが、申し込み受付開始後、1週間余りで定員に達して締め切るほどの人気でした。しかも、毎年同じ内容にもかかわらず、3年連続で参加してくれた児童もいました。「大人には同じに見えても、子供には毎年新しい発見があるのでしょう」と、保護者の一人が後日おっしゃっていたのが印象的でした。今後も子供たちに新たな発見やその喜びを体験させていきたいと考えています。
研究所は、今後も地域貢献の一環として見学や体験学習の受け入れを積極的に行い、病院内外や地域へ情報を発信していきたいと考えています。
17.08.10更新
倉敷青陵高校生が見学
今年も倉敷青陵高校の生徒さんが見学のため来所しました。
難波助手が入職
7月1日付で難波真澄研究助手が入職しました。
古家野研究員が研究助成を受賞
分子遺伝部門の古家野孝行研究員が、公益財団法人ウエスコ学術振興財団の研究助成対象に選ばれました。古家野研究員は入職してまだ2年足らずですが、昨年度の川崎医学・医療福祉学振興会、両備てい園記念財団に続いての研究助成受賞となりました。
今回の助成対象の研究課題は「ゲノム編集技術を用いたp16/p21二重ノックアウトマウスの作製と急性腎障害における細胞老化シグナル経路の機能の解明」ということです。
詳細は、ウエスコ学術振興財団のホームページをご覧ください。
※ていは木へんに聖
国際腎臓学会(WCN2017)にて発表
分子遺伝部門の松山誠室長が、国際腎臓学会で急性腎不全に働く遺伝子の発表をしました。
2017年4月21-25日、メキシコ合衆国メキシコシティにて開催された「国際腎臓学会(WCN2017)」に参加しました。この学会は2年毎に行われおり、腎臓病に関して世界最大の学会(今回の参加者は約4000人)で、腎臓病研究において最先端の話をたくさん聞くことができました。学会の雰囲気は南北アメリカ大陸の国々から参加されている方が多い印象で、「糖尿病性腎症」というテーマが多かったのもアメリカ大陸で開催された学会ならでは、と思いました。
私は「Sfrp1 controls renal damage through the non-canonical Wnt/PCP pathway.」というタイトルでポスター発表を行いました。発表内容は「Sfrp1遺伝子が急性腎不全時にどのような働きをしているかを分子レベルで明らかにした。その結果、腎不全時にSfrp1遺伝子は、Wnt/PCPシグナルを介して修復に役に立つことが示唆された。」というものです。さまざまな国からの参加者がポスターを見に来てくれました。また、観客の中からいくつか質問・意見を頂き、今後研究を進めていく上で非常に参考になりました。慣れない英語で説明するのは大変でしたが、研究内容についてはおおむね好評だったと思います。
<サボテンの国メキシコ>
メキシコ合衆国メキシコシティについて紹介します。岡山→羽田→成田→メキシコシティ、移動で約1日かかります。かなり赤道に近い位置にある都市にもかかわらず高度が高い(標高2240m!)ため気温は日本とほぼ同じです。湿度はとても低く、日本より快適かもしれません。私は学会主催の観光で、テオティワカン遺跡へ行きました。テオティワカンとは紀元前2世紀から6世紀まで繁栄した、テオティワカン文明の中心となった巨大な宗教都市のことです。遺跡にあるピラミッドは高さ65mもあり、世界3大ピラミッドと呼ばれています。エジプトのピラミッドとは異なり、頂上まで歩いて登ることができました。
最後に、学会期間中は日本で活躍されている日本腎臓学会のメンバーとも交流を深められました。特に日本腎臓学会ではあまり話すことができない著名なメンバーとも長い時間お話しする事が出来ました。今回、このような方々との人脈が広がった事は大変有意義なことでした。今後、重井医学研究所が腎臓病の研究をしていく上で重要な機会だったと思います。これからも国内外で研究成果を発信していくことで、研究所・病院・創和会全体の発展に貢献できればと考えています。
ポール・ナース博士(2001年ノーベル賞受賞)の講演を聴講
広島大学においてポール・ナース博士の講演があり、分子遺伝部門の古家野孝行研究員が聴講してきました。
古家野研究員はナース博士が所長を務める英国フランシス・クリック研究所に留学しており、講演前に再会を果たしました。
また、広島大学の登田隆特任教授と抗体作製(共同研究)について議論してきました。
ポール・ナース博士(左から2番目)と古家野研究員(右端)