来館者の驚き−@ハチとアリは同じ仲間(ハチ目)だったのか |
アリはスズメバチやアシナガバチと同じグループであり、その分類上の距離はスズメバチとミツバチ・クマバチとの関係より近いと言われています。つまりアリ類はスズメバチ類から進化していきましたが、共通点が多いのでスズメバチ・アシナガバチのグループに含まれるのです。 写真の左はオオスズメバチ、右はクロオオアリです。なおシロアリはアリとは全く異なったグループです。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−Aゴキブリとシロアリは同じ仲間なのだ |
同じアリと名のつくシロアリは分類上アリとは遠く離れた存在です。 シロアリも女王シロアリを中心とした社会性昆虫なので同じ仲間かと思いがちですが、なんとゴキブリと同じグループ(ゴキブリ目)なのです。今までは別々でしたが、同じ仲間と判明したのは比較的最近です。 まずゴキブリですが、人間の家などを住み家にして嫌われているゴキブリはごく一部であり、多くは森林の落葉や朽木などを食べて暮らしています。 写真はオオゴキブリで、朽木に潜んでいるため目撃する機会はあまりありません。シロアリも同様で、木造家屋を食い荒らす害虫として困った存在ですが、これもまたごく一部であり、多くは森の中で枯死した植物の繊維(セルロース)の分解に携わる重要な役割を持っています。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る
|
来館者の驚き−Bセミはカメムシと同じグループなのだ |
この仲間は針のような口をもち、これをストローのように使って食べ物の液を吸い取るという共通点があります。このカメムシ目にはカメムシのほか、セミ、タガメ、ミズカマキリ、アメンボ、ウンカ、ハゴロモ、ヨコバイ、アワブキ、グンバイムシなどを含む大変大きなグループです。あのナンキンムシもカメムシの一種です。この吸い取る液とは、植物の液(多くのカメムシやセミなど)もあれば小動物の体液(タガメ、アメンボ、カメムシの一部など)もあります。
左の写真はアブラゼミ(2020年倉敷市)の口、右の写真はヨコヅナサシガメ(1980年津山市)の口で、どちらも当館保管の標本です。(岡野)
 来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−Cハエとカは同じグループなのだ |
現在はハエ目という名称ですが、以前は双翅目とよばれていました。後ろの翅が極めて小さいことから、退化した不要の翅の痕跡とされていたために双翅、つまり翅が1対(2枚)しかなと思われていました。しかしこれは大きな間違いで、この後翅は平均棍(へいきんこん)という器官に変化したものです。これがないと平衡感覚を失って飛べなくなります。
写真は左から、カ類(ミカドガガンボ)、ハエ類(セスジハリバエ)、アブ類(アオメアブ)の順で、すべて当館保管の標本です。どれも双翅に見えますね。普通に2対の翅のハチ類とはまったく異なります。 最後にガガンボについて説明しておきます。このミカドガガンボは開張(翅を開いたときの左右の幅)が10pほどもある日本最大(写真隅の100円硬貨を参考)のガガンボですが、この仲間は人の血を吸うことはありません。(岡野)
 
来館者の驚き−トップページに戻る
|
来館者の驚き−Dカマキリと名がつく虫が3つもあるのだ |
この3つとは本家のカマキリ目(もく=グループ)のカマキリ、アミメカゲロウ目のカマキリモドキ、カメムシ目のミズカマキリです。 写真左からコカマキリ(2023年 吉備中央町)、キカマキリモドキ(1983年 新見市)、ヒメミズカマキリ(2019年 総社市)の順で、当館が保管している標本です。どれも鎌状の前脚を持ち、昆虫などの小動物を捕獲するので「カマキリ」の名がつきましたが、この3つの目は分類上遠く離れた存在です。このように異なるグループの生物が同様の生態を有する場合、類似した形質を獲得していく現象を収斂進化(しゅうれんしんか)とよぶことを高校の生物の時間に学びました。その時の事例が土中で生活する哺乳類のモグラと昆虫のケラの前足であったと記憶していますが、確かによく似たシャベルのような形をしていますね。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−Eチョウとガは全く同じ仲間なのだ |
まず種類数においてチョウとガは対等ではありません。 日本のガは6000種以上と言われていますが、チョウは230種程度。このことからチョウはガの中に含まれると言う方が正しいようです。事実、分類上チョウ類は、シャクガ上科などのガの大きなグループの一員にすぎません。 よくチョウとガの相違点について止まったときの翅のたたみ方とか、触角の形の違いなどがあげられますか、決定的なことではありません。簡単に説明すれば、主に夜行性のガは聴覚と臭覚に頼って行動、これに対して主に昼行性のチョウは視覚に頼って行動します。そのため両者はその生態に適応するように進化していったと言えます。ただし例外も多く存在するので、ごく基本的な考えとご理解ください。 写真上は典型的な夜のガのトビモンオオエダシャク(総社産)、下は昼のガのトラガ(鳥取県日野町産)。 トラガはまるでチョウのような色彩ですね。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−Fアミメカゲロウの仲間はトンボとよく似ているけど別グループなのだ |
これは来館された方の直接標本を見られての感想です。 写真左はアミメカゲロウ目ツノトンボ科のオオツノトンボ(真庭市津黒山 1963)、右は同目ウスバカゲロウ科のコウスバカゲロウ(鳥取県大山 1966)です。確かにどちらもトンボ(トンボ目)よく似ていますね。 しかしこの2つの目は、分類上大きくかけ離れた存在です。例えばトンボ目は「卵→幼虫→成虫」という原始的な不完全変態ですが、アミメカゲロウ目は「卵→幼虫→蛹→成虫」の完全変態です。これは進化・分類上、大変大きな形態の違いです。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−Gホタルやテントウムシもクワガタ・カブトムシと同じコウチュウ目なのだ |
コウチュウ目は昆虫最大のグループで、実に多くの種を含んでいます。 日本では3万種近くが記録されており、これに続くチョウ目(ガ中心)やハエ目の数倍です。 かつては鞘翅目とよばれていましたが、これは上の翅が鞘(さや)のように硬く、飛翔に使う柔らかい下の翅を保護しているからです。現在はコウチュウ目という呼び方ですが、この名も「甲虫」、つまり「カブトムシ(硬い甲の虫)」の音読みであり、意味は同じです。ホタルやテントウムシの上の翅は柔らかくて「鞘=甲」のようではありませんが、全体の構造に違いはありません。それだけコウチュウ目は多様性に富んでいるということですね。 なお写真左はオオクワガタ(津山市1971)、右上はナナホシテントウ(笠岡市1962)、右下はゲンジボタル(倉敷市1984)です。(岡野)
来館者の驚き−トップページに戻る |
来館者の驚き−H同じ仲間でもこんなに多くの種類がいるのだ |
「こんな小さな虫もいるのですか!」
当館では他の博物館とは異なり、岡山県内で記録された昆虫は大きさや色彩などに関係なく可能な限り多くの種を展示しています。したがって、虫眼鏡でも使わないと見えないようなごく小さなものまで展示しているのです。これは当館への見学目的の一つでもある「生物特に昆虫類には多くの種類が存在することを知り、生物の多様性について理解すること」があるからです。
中でも甲虫類では、同じ仲間でも大きいものからごく小さいものまで多数の種類がいます。 例えばコガネムシの仲間では体長が50oほどのカブトムシから2o前後のマメダルマコガネまでおり、日本では360種ほど(岡山県では約140種)います。 また、テントウムシの仲間では大は体長13oのカメノコテントウから2o前後のヒメテントウ類まで、日本では160種(岡山県では85種ほど)ほどいます。 ちなみに甲虫類全体では日本では約29,000種(岡山県では8000種ほど)います。(岡本)
来館者の驚き−トップページに戻る |