病院の中にこんちゅうかん!? 倉敷昆虫館
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虫の世界
 
  多年にわたる異常気象で、昆虫の生息地域の変動が継続中
2009.2.12

 
館長 小野 洋

地球温暖化 山川東平先生(元財団法人大原農業研究所職員)が、当時(1951年)お勤めの倉敷西小学校(当時は、倉敷国際ホテル前付近にありました)で、9月18日に、教室で給食中、中庭を悠々と飛翔していく「ナガサキアゲハ」を発見。これは大変と、とび出してアサガオの花に翅をひろげて止まっているチョウを確認。まさにびっくり仰天されたことが、倉敷昆虫同好会の機関誌「すずむし」10月号(Vol.1.No.10 pp4-5,1951)に報告されていました。当時、ナガサキアゲハは九州以南に分布生息(まれに四国、中国[山口]で記録)する昆虫として、よく知られていましたが、これを読まれ同好会会員もびっくり。今から思えば、“半世紀以上前”。まさに「南に生息する昆虫の、北へ向けての分布拡大の始まり」の一つだったのでは?と思われています。

  昆虫の生息環境の中で、環境因子といわれている「温度」「湿度」「光」「水分」等がありますが、これらの組み合わせは、昆虫の種ごとに微妙に異なります。その種が必要とする食物や環境因子が、ほぼ整えられることによって、そこの地域での永住が可能となるわけです。その環境が一時的な場合には、年間のある時期、一定の期間だけ姿を見せることになります。中でも温度は主要な因子です。
 また自然を壊すことが、温暖化につながると見られています。比較的安定していた気象状態が崩れ、以前のように地球の経度で、ほぼ区分されていた熱帯、亜熱帯、温帯などといった言葉さえ、今は使用しにくい時代になっています。 倉敷付近では、イシガケチョウやタイワンウチワヤンマ等は南から、ミカドアゲハやキマダラカメムシは西からと言ったかたちで、以前の倉敷付近にはいなかったものが増え続けています。もちろん一方では消え去ったものもいます。

 個体数も、クマゼミのように、以前は1日掛けて捜しても1個体か2個体であったものが、そこらあたりにすずなりと言ったものもあります。また、黒いアゲハチョウといえば、以前はクロアゲハかカラスアゲハであったものが、今はほとんどナガサキアゲハとなりました。(2004年には、東京でも捕獲されました。)
今や、昆虫の分布は、北へ向けての分布の拡大が激しい勢いで続いています。最近突然生息が確認されたクロマダラソテツシジミ、そして他県で見つかって話題になっているアメリカカンザイシロアリ等はまた異なった入り方のようです。

ナガサキアゲハ 1979年 早島町早島 [開長 120mm] イシガケチョウ 1978年 倉敷市六口島 [開長 50mm]
▲ナガサキアゲハ 1979年 早島町早島 [開長 120mm] ▲イシガケチョウ 1978年 倉敷市六口島 [開長 50mm]
タイワンウチヤンマ 1990年 倉敷市串田 [腹長 55mm] キマダラカメムシ 2006年 倉敷市酒津 [体長 22mm]
▲タイワンウチヤンマ 1990年 倉敷市串田 [腹長 55mm] ▲キマダラカメムシ 2006年 倉敷市酒津 [体長 22mm]

 

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