●2023年倉昆一泊調査会報告(2023年7月22〜23日 蒜山高原)
天候は晴れ。猛暑の下界をあとにして清々しい空気の蒜山高原に向かった。そのはずだった。しかし最近の温暖化からか蒜山高原も暑い。各所を転々としながら虫を探すが、虫も暑いのだろう、何処かに潜んで姿を現さない。期待が諦めに変わるのにそれほどの時間は掛からなかったが、チェックイン可能の午後3時までどうにか耐え続けた。
大した成果もないまま今宵の宿、貸しコテージ楽寛荘に到着。管理人がエアコンを作動させてくれていたのは有り難かった。コテージは3LDKと普通の住宅並みで、快適に過ごせそう。時間の経過と共に徐々に今回の参加者が集まりはじめ、歓談に花が咲く。コンビニや惣菜店も遠くないので、各人各様の夕食を準備し日暮れを待った。 |
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今回の夜間採集では屋台(ナイター設備)は三台。コテージの庭に2台とやや離れた蛇ヶ乢林道の奥に一台が設置された。屋台は、その形が人それぞれに個性的で、夜間採集をやる人にはそれをネタに大いに話が盛り上がる。同じ虫屋でも、夜間採集をしない人にはあまり理解できないことかも知れない。今回の屋台は、岡本さんの幅2.8m高さ1.8m程の大型設備、岡野さんのある程度の風にも耐える頑強なもの、また今回がデビュー戦になる松山さんは、集虫用のHIDランプと充電器、それにコンパクトな幕から出来た今風なものに思われた。 |
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さあ準備万端、夜の帳が下りるにつれて高原の涼風が昼間の暑さを一掃し別天地へと変わる。そして蒜山高原に棲む虫たちが次から次へと飛来して幕に止まり、その光景はまるで宝石や秀逸アクセサリーの品評会。それらの中から好みの虫をより取り見取り、参加者一同は一晩中続く虫天国に狂喜乱舞、のはずだった。しかしやって来たのはコガネムシの大群。狂喜乱舞していたのは我々ではなく、コガネムシたちだった。 |
それでも、数種類は含まれているその群れを一網打尽にして手土産としたのは、高校生虫屋の市村君。市村父はと言えば、そのサポートに忙しい。蛾の飛来数は少ないものの、大学院生の水井さんはこまめに採集していた。過去には県中南部限定の普通種だったフシキキシタバが得られたのは、分布の広まりを裏付けるものだろう。トンボ屋で夜間採集では出番がない守安さんと、最近は展翅拒否症で蛾の採集から逃げている筆者は、ひやかし程度に採集風景を観戦し、あとはビールとお摘まみを友として虫談義にふけった。
翌朝の蒜山はやや曇り空で、熱波から逃れられると期待して各々が狙いを付けた方面に転戦。しかし、たちまち憎らしいほど強烈に燃えさかる太陽が頭上から見下していた。 (記:三宅誠治) |