● 夢のような光景がありました (2011.5.19)
あまり広くもない草原に、カノコソウの群落が広がる自然の花園があり、短い命を惜しむかのようにピンクの花を一斉に咲かせていました。 そこに、数匹のウスバシロチョウが ひらひらと舞い、ときおり、花に止まって蜜を吸いました。夢を見ているようなひとときでした。 岡山県のような暖地でも、氷河期の生き残りとも言われるこんなチョウが、山村の人家近くで、ひっそりと生きている姿に胸を打たれました。(青野孝昭)
岡山県新見市 (2011.5.19)
● 氷河期の生き残り (2011.5.19)
アゲハチョウ科のチョウなので、最近ではウスバアゲハという和名を使う図鑑が増えてきました。少年時代からウスバシロチョウという和名に親しんできた者には、表記の和名に愛着があります。でも、時代の流れとともに、和名も移り変わって行くのでしょう。 Parnassius属のチョウは、寒冷地や山岳地帯に生息する種が多く、本種はその中で、最も温暖な低山地にまで分布しています。しかし、暑い夏期は幼虫態ながら、卵中で耐え、本州の暖地では1、2月、食草のムラキケマンの発芽と同調して孵化し、4、5月に蛹化、羽化して一生を終えるという冷涼気候適応型の生活史を送ります。 北海道、本州、四国と中国の中部のみに分布しています。(青野孝昭)
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