● 岩にしみ入るような鳴き声の主 (2010.7.20)
松尾芭蕉の著書「奥の細道」に、「閑さや岩にしみいる蝉の声」という名句があります。このセミは何ゼミか。昭和の初期に歌人、斎藤茂吉と芭蕉の研究家、小宮豊隆が大論争。茂吉はアブラゼミ、小宮はニイニイゼミといずれも譲らず。結局、昆虫学者が俳句の詠まれた日にちと、セミの発生期から考えて、それはニイニイゼミであると断。茂吉は「参った」と、自分の過ちを潔く認めた、さわやかな逸話が残っています。
この日、ソメイヨシノの幹に止まっていた個体を見逃すところでした。樹皮の色とそっくりで、見事な隠遁色。こうでなければ生き残れません。(青野孝昭)
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岡山県倉敷市酒津 (2010.7.11) |
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