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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (1) |
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● 可愛いべービー (2009.5.27)
体長約3mmの1齢と考えられる幼虫。傾斜した礫河原の川辺とは反対側の高所にたくさん発生していました。こちらが歩くと驚いてぴょんぴょん跳ねます。それで発見できました。それほど小さな存在でした。
カワラバッタの孵化期は5月であることがわかりました。年1化で、成虫が見られるのは7月〜11月です。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.5.27) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (2) |
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● 5月には幼い姿が見られます (2009.5.27)
2齢幼虫と思われる個体。体長は5mm程度です。1齢幼虫と同じ礫河原にいました。岡山県の現状では確認されている生息地は1か所だけとなっており、岡山県レッドデータブック2009では絶滅危惧T類に格付けされています。
河川中流域の礫河原が生息適地ですが、ダム建設による流水の攪乱作用縮小による礫河原の樹林化や河川改修などによって、本種の生息に適した河原は激減しました。
日本固有種で北海道、本州、四国、九州に分布。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.5.27) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (3) |
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● 様々な色合いの礫の中で茶色系の幼虫も出現 (2009.5.27)
こちらは茶色系の幼虫です。灰青色系の幼虫より心持ち大きく、メスと思われます。中胸部左背面に赤いダニが寄生しています。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.5.27) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (4) |
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● 種子のうや小さな種子も食します (2009.6.3)
5月27日より一週間後の礫河原です。3齢と思われる幼虫が堆積岩系の礫に止まっていると、動かなければ先ず見逃してしまいそうなほど、周りの景色に溶け込んで、体色が隠遁色になっていることを納得。現地では餌としてナガミノヒナゲシの種子のうをかじっているのが観察され、飼育によっては写真に写っているノミノツヅリの種子のうや、中の種子も食べることがわかりました。ヒメムカシヨモギやメヒシバの若い葉と並んで、固い植物体も食することが判明しました。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.6.3) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (5) |
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● こんなところにクモの巣が (2009.6.3)
カワラバッタにもいくつかの天敵がいることは、紛れもない事実です。この幼虫はクモのネットに掛かって、自由を奪われていました。間もなく、罠を仕掛けたご本尊がやってくるはずです。
孵化した幼虫はたくさんいても、こうして、1匹、また1匹と命を落とし、成虫にまでなれる個体はどんどん減って行きます。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.6.3) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (6) |
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● 熱中症をこうして防ぐ? (2009.8.8)
夏盛りの暑い日でした。早いものは成虫になっていますが、この個体はまだ終齢幼虫の段階でした。礫は日射で高温となっており、対暑法というのか、体を礫から離し、後脚は高く持ち上げています。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.8.8) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (7) |
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● 真夏の炎天下の高温地獄 (2009.8.8)
既に成虫になっていた個体です。この日の暑さには私も往生しました。何とこの個体も閉口したとでもいうように、触角はだらりと下げ、前、中脚で体を持ち上げ、後脚はアチチとばかり、礫上から離しています。礫河原での夏の晴れた日の礫上の温度状態がいかほどのものか、この様子を見ただけでうかがい知ることができました。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.8.8) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (8) |
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● 体温が上がるまでは省エネスタイルで (2009.9.19)
9月も半ばを過ぎると礫河原の朝の気温はぐっと下がります。 バッタたちは直射日光を体に直角に受けるよう体勢を整え、体温上昇をはかります。脚に力は入らず、11:14現在、まだ、体は省エネよろしく礫上にべたりと着けたままです。灰青色系のオスで、たたんだ翅の背面には赤いダニがくっついています。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.9.19) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (9) |
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● メスが受け入れて、はじめてカップルが誕生します (2009.9.19)
正午近くになると、活発な行動が見られるようになります。小さな礫の多い砂礫地に移動する個体が増えます。 1匹のメスが静止しているとオスが近づいてきて翅と後脚をすりあわせ、鳴きながらディスプレイを行います。受け入れられないと、その場から離れます。すると、次のオスがやってきて同じようなディスプレイを行います。このカップルはそうした行動を繰り返した後に誕生しました。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.9.19) |
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カワラバッタ Eusphingonotus japonicus (10) |
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● 体側の紋様も見事な迷彩色 (2009.9.19)
カワラバッタが砂礫地にいるときの景色です。体の彩色は明るい灰色の部分と黒色の帯状紋で、あたかもいくつかの礫に分断されたような状態が生じ、周りの礫の中に溶け込むことができます。居場所を一度確認していても、ちょっと目をそらし、再び視線を戻したとき、目をこらさないと見つけがたいほどで、迷彩色が持つ見事な隠遁機能に感心させられます。交尾の場所として砂礫地を選ぶ習性は上等と言っておきましょう。(青野孝昭)
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岡山県 (2009.9.19) |
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