倉敷昆虫同好会
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虫たちの素顔
 
 ホシミスジ Neptis pryeri  (1)
 

人の営みに助けられています (2009.6.1)

 遠く過ぎ去った子どもの頃の記憶に、小庭の中をぱたぱたっと羽ばたいたかと思うと、すうっと滑空する蝶がいました。後に、蝶を本気で追っかけるようになって、山で出会う同じような飛び方をする蝶がほとんどコミスジであることに気づきました。
 コミスジとホシミスジとでは食餌植物が異なり、前者がクズやフジなどのマメ科植物であるのに対して、後者はバラ科のシモツケ属植物であることも知りました。
 人家の周りにホシミスジが多いのは、シモツケ属のユキヤナギやコデマリなどを人が植栽しているからに他ならないからでした。
 酒津公園にはユキヤナギを植えたコーナーがあり、訪れてみましたら、今年も、健在でした。旧北区のアジア東部に分布しています。 (青野孝昭)

ホシミスジ 倉敷市酒津 (2009.6.1)

倉敷市酒津 (2009.6.1)

 
 ホシミスジ Neptis pryeri  (2)
 

ぶら下がった葉に化けて (2011.5.8)

 重井薬用植物園の一角にユキヤナギが植栽されています。
5月8日に訪れた際、もしや、越冬幼虫がいないかと探したところ、一匹の幼虫が、前蛹の状態で枝に逆さまになってぶらさがっていました。
腹部背面に緑の蛍光色のような光を持つ斑紋があり、これがなんとも葉ではないのに、そこに葉の一部が光っているように見えました。最も危険な無防備なひとときを安全度の高い葉に見せかけている姿に、お見事と指を鳴らしました。(青野孝昭)

ホシミスジ 岡山県倉敷市浅原 (2011.5.8)

岡山県倉敷市浅原 (2011.5.8)

 
 ホシミスジ Neptis pryeri  (3)
 

眺めただけでは縮れた枯れ葉のよう (2011.5.14)

 この日、再び重井薬用植物園を訪れてみたところ、5月8日に見ていた前蛹が蛹になっていました。この枝は葉が食い尽くされ、ぶら下がった蛹は、一見、からまって枝に残った枯れ葉のように見えます。
でも、よく見ると、頭の部分には目玉の形も見え、蝶の蛹であることがわかります。普通なら見逃してしまう見事なカムフラージュにブラボーです。(青野孝昭)

ホシミスジ 岡山県倉敷市浅原 (2011.5.14)

岡山県倉敷市浅原 (2011.5.14)

 
 ホシミスジ Neptis pryeri  (4)
 

成虫になった喜び (2011.6.2)

 5月24日に重井薬用植物園で見たときは、まだ蛹のままでしたが、5月31日に確認した時には、抜け殻になっていました。成虫が1匹飛んでいるのも見ました。写真撮影の機会はありませんでした。
そこで、6月2日には酒津公園のユキヤナギが植栽されている場所へ行ってみました。予想通り2匹の成虫が羽ばたいたり、滑空したりしていました。
第1化の羽化期が5月下旬〜6月上旬あたりにあることがわかりました。(青野孝昭)

ホシミスジ 岡山県倉敷市酒津 (2011.6.2)

岡山県倉敷市酒津 (2011.6.2)

 
 ホシミスジ Neptis pryeri  (5)
 

躍動的な羽ばたき (2011.6.2)

 新成虫の躍動的な羽ばたきです。羽ばたいているとき、掌を合わせるほど左右の翅を深い角度まで振り下ろしていることがわかります。そこまでして、揚力を得ているようです。余裕ができると滑空もし、羽化して間のない新成虫が、目前に広がる空間を新鮮な気分で楽しんでいるように見えました。(青野孝昭)

ホシミスジ 岡山県倉敷市酒津 (2011.6.2)

岡山県倉敷市酒津 (2011.6.2)

 
 
 
 
 

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〒710-0051岡山県倉敷市幸町2-30しげい病院1階倉敷昆虫館研究室内
 
電話:086-422-8207 
E-mail:
kurakon@shigei.or.jp

 
倉敷昆虫館はしげい病院の1階にあります。展示および収蔵標本は主に倉敷昆虫同好会員による半世紀以上の調査活動の成果によるものであり、そのうち3200種14000点を展示しています。  
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