● 枯葉の上に (2009.3.17)
早春から、春季に限って成虫が姿を現すことから、春の使者、双翅類(ハエ目)のスプリング・エフェメラルとも言われるビロウドツリアブ。明るい陽射しを浴びながら林縁の小径を歩いていると、決まったようにこの虫に出会います。花の蜜を吸っていたり、枯葉の上に降りていたり、ホバリングして空中に停止していたり、かと思うとピュット飛んでみたりと、見る者を飽かせません。 ツリアブ(吊り虻)という名は空中に止まっている姿が、目に見えない何かで吊り下げられているように見えることからなのでしょうが、ヒラタアブの仲間やクマバチ、あるいはハチ鳥やスズメガの仲間など、同じようなことをやってる連中が、結構いますね。 口(口吻)が長く伸びていること、からだがふんわりと暖かそうな長毛で覆われていること、何かに止まるとき、前翅をゼット戦闘機のように斜め後ろに半開きにすること、こういったスタイルも印象的でいろいろなことを想像させます。 私的には同類のトラツリアブほどとは言えないまでも、可愛い部類に入るかなと...。春一番にこの虫に巡り会うと、おお、また、会えたねとほっとさせられます。 体長8〜12mm。岡山県内は勿論のこと、北半球に広く分布する普通種。幼虫はヒメハナバチ科の幼虫に寄生。成虫は年1回春季に出現。(青野孝昭)
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