● ここの水場は一匹だけの楽園　（2009.5.2）

　スマトラ、ボルネオなどでは、群れて吸水している姿をよく見てきました。ここ高梁川の河原では、ただ一匹での吸水です。一見淋しい風景に見えますが、見方を変えると、東南アジア中心の熱帯地方が本場の本種が、勇敢にも北方に分布を広げ、その北限近くで活躍している精鋭の一勇士にも見えます。日頃見かける、俊敏な飛翔姿には胸のすく思いがするほどの爽やかさがありますね。
　学名の種小名に、サルペドンというギリシャ神話の最高神、ゼウスの子の名を当てた命名者、リンネは、神話のトロイ戦争で獅子奮迅のはたらきをしたとされる彼と、この蝶のイメージをダブらせたのかなあと想像しています。
　街中に植栽された街路樹のクスノキにさえ幼虫が見られるほど、サバンナ的環境に適応したたくましい昆虫の一種です。 （青野孝昭）

倉敷市酒津　（2009.5.2）

●  機動性抜群の吸蜜活動　（2010.5.15）

　今年は寒い春が続いた所為か、畑の一隅には、まだ、咲き始めの菜の花も認められます。 ギリシャ神話のサルペドンよろしく、花から花へと朝食の蜜を求め、敏捷に飛び廻っていたこの個体が、咲いたばかりの一輪の菜の花目指し、まさに到達寸前の姿態をカメラに捉えさせてくれました。6本の脚と口吻は真っ直ぐ伸ばし、着花と同時の吸蜜をやり遂げようとの体勢は、救急車機動隊員以上の機動性ありと認めました。（青野孝昭）

倉敷市酒津小黒田　（2010.5.15）