人の衣服や、動物の毛に付着することで運ばれる植物の種や果実を「ひっつきむし」などと呼ぶことがあります。例えば、トゲトゲのラグビーボールのような果実のオオオナモミ(キク科)、「かえし」の着いた銛(もり)のような角が付いたアメリカセンダングサ(キク科)、三角形のおにぎりのような果実のアレチヌスビトハギ(マメ科)。これらは実は全部北アメリカ原産の外来種です。
もちろん、在来の「ひっきつむし」もあるのですが、最近は姿のよく似た外来種が増えていることもあって、地域にもよりますが、なかなか在来ひっつきむしには出会えなくなっています。舌状花がまばらで、果実の角が3~4本のセンダングサ、果実が2個だけで、くびれ部分が細いヌスビトハギなどは、やや自然性の高い河川敷や山裾の草地などで出会うことがありますが、果実が小さく、刺が少なくて毛が多いとされる「オナモミ」そのものは、全国的にほとんど見られなくなっており、岡山県では最近はまったく見つけることができなくなっています。
あなたの服に付いている「ひっつきむし」は、外来種でしょうか、在来種でしょうか? ひっつきむしを取り除くついでに、ちょっと観察をしてみるのはいかがでしょうか?