重井薬用植物園は倉敷にあるしげい病院を運営する社会医療法人創和会の施設の一つです。倉敷の自然を守る会などの自然保護活動に力を注いだ前理事長の重井博の言葉のもと、1964(昭和39)年より整備を開始しました。園内には岡山県内に自生する樹木や草本類、また昆虫の食餌植物などを多種類植栽しています。園内には約800種の山野草が生育し、さながら自然植物園の観を呈しており、植物だけではなく野鳥や昆虫の楽園にもなっています。
植物園では園内で栽培した植物の余剰種子を愛好家に配布する活動を行ってきました。オキナグサ、ユウスゲ、ナンバンギセルは、新聞、ラジオ、テレビを通じて全国に配布しました。特にオキナグサは反響が大きく、昭和55年より北海道から沖縄まで延べ10万人に配布しました。
現在は、地域ごとの遺伝的多様性に与える影響を考慮し、創和会、あるいは当園が関係するイベントなどにおける園芸用としての種子などの配布をのぞいて、個人を対象としては分譲を行っておりません。ただし、学術研究目的、あるいは公共の利益を目的とした利用の場合は、無償で分譲しておりますので、必要な方は当園までご連絡ください。
▲オキナグサ | ▲ユウスゲ | ▲ナンバンギセル |
2006(平成18)年4月~12月に、岡山大学資源生物科学研究所(現 岡山大学資源植物科学研究所)野生植物研究室の榎本敬助教授(当時)らにより園内の植物調査が行なわれ、園内には140科788種の植物が生育し、岡山県内における植物園で見られる種類数としてはトップクラスであることが確認されました。また、調査では「岡山県版レッドデータブック」に取り上げられているオグラセンノウ、キビヒトリシズカ、マルバノキ、サクラソウなどの絶滅危惧種12種を含む38科63種の植物がこの植物園内に生育していることも確認されました(種数は植栽したものを含む)。
▲オグラセンノウ | ▲キビヒトリシズカ | ▲マルバノキ | ▲サクラソウ |