ハマツメクサは海岸近くの砂地や岩場のほか、内陸の日当たりがよく、乾燥した場所、ときにはアスファルトの間隙にも生育する、ナデシコ科の1年草~多年草です。同属の近縁種に「ツメクサ」そのものもあり、こちらも庭先や道ばたでごく普通に見られます。両種ともよく似ていて外見では見分けがむずかしく、ちゃんと見分けようとする場合には、ルーペや顕微鏡で種子表面を観察する必要があります。和名の意味は「爪草」で、細い葉が鳥の爪を思わせることが由来の名です。
①ハマツメクサ・・・ツメクサそのものより茎がやや太く、葉も幅広く、厚みがある。種子表面は平滑か、目立たない粒状の突起がある。
②ツメクサ・・・種子の表面には多数の突起がある。
ふつう「つめくさ」と言って思い浮かぶのは、「クローバー」とも呼ばれる、シロツメクサ(マメ科)かもしれません。こちらの和名は「白・詰め草」で、江戸時代にヨーロッパからガラス器を送る際に、詰め物(クッション材)として、乾燥したクローバーが使われていたことに由来します。(逆に、日本からは漆器や陶器を送る際の詰め物に浮世絵を刷った紙が使われ、それがきっかけでヨーロッパに日本ブームが巻き起こったそうです)
四葉のクローバー探しも楽しいですが、庭の片隅や家の前のアスファルトの隙間でたくましく生きる、小さなナデシコ、「ツメクサ」を探してみてはいかがでしょうか。