重井薬用植物園では、昨年7月に建物の改修工事により消滅の危機にあった倉敷美観地区の旧家の屋根に生育していたツメレンゲ(環境省レッドリスト:準絶滅危惧)を、倉敷市立自然史博物館友の会と共同で救出し、創和会の全面的な協力により、昨年9月にしげい病院の南館屋上に市民の方々と共に移植を行いました。
今年も10月10日ごろより、移植したツメレンゲが開花を始めました。今年は移植したばかりであった昨年とは異なり、株分かれや昨年の種子から発芽したと思われる小さな個体が非常に多く生育しているのが観察されます。移植した個体が生き残るだけでなく、新たな個体の繁殖の成功が確認されたことで、真の意味での「移植成功」と言える段階となったと考えております。
自然状態では険しい岩崖地に生育することが多く、美観地区でも屋根の上に生育するため、間近で観察する機会の少ない植物ですので、市民の方々にツメレンゲのことを知って頂くため、園長が植栽場所で解説を行う、「観察・解説タイム」を10月下旬の3日間、開催しました。1回目の20日の参加者は2名だったのですが、25日には山陽新聞に記事が掲載され、12人の参加者があり、28日にも8人の参加者があり、のべ22名の方に解説を行いました。
▲観察・解説タイムでなくても、自由に見学できるようになっているため、この時以外にも見に来られた方が大勢おられたようです。 | ▲スカイツリーみたい?に伸びているのが開花株です。昨年の移植作業の際にも来られた方がおられましたが、小さな子株がたくさん生えていることにびっくりされていました。 |
▲花をひとつむしって、花の構造を観察します…が、小さな花なので、観察も大変です。 | ▲移植前の様子や、野生での生育状況などは写真で解説しました。 |
▲3回とも、雨に降られることもなく、観察することができました。 | ▲ツメレンゲで見つけた昆虫たち・その1:ナナホシテントウのサナギ。 |
▲ツメレンゲで見つけた昆虫たち・その2:セイヨウミツバチ。ニホンミツバチの来訪も期待できるかも? | ▲ツメレンゲで見つけた昆虫たち・その3:ハナムグリの仲間。昨年はハナアブの仲間ぐらいしか見ませんでしたが、だんだんと生き物が増えてきているような気がしています。 |