岡山県下には、各地の山地にキバナアキギリが生育していて、秋になるとサルビアのような黄花を付けているのによく出会います。
キバナアキギリは、本州・四国・九州に広く分布する普通種ですが、紅紫色の花を付けるアキギリの方は、図鑑によって多少の違いはありますが大体本州の北中部で、中には近畿・中国地方にまで分布するとなっているものもあります。中国地方にも分布するのであれば、岡山県下にも分布の可能性はありますが、未だその記録はありません。
県下の北房町(現真庭市)でアキギリが発見されたと聞き、1996年(平成8年)6月に発見者からその苗を分けて貰い、本場のアキギリと比較栽培していましたら、やっと開花しました。掲載の写真はその時のものです。
写真を見るとアキギリそっくりですが、念のために花冠を切開して内面の毛を調べてみましたら、アキギリの方はほぼ全面に生えていましたが、
北房町のものはキバナアキギリと同様に、基部に環状の毛がありました。
花の色では区別はできませんでしたが、花冠内部の毛が決め手となり、北房町産のアキギリらしい植物は、キバナアキギリの色変わり品と判明しましたので、残念ながら岡山県の植物目録にアキギリを加えることはできませんでした。