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診療科・部門

糖尿病内科


糖尿病内科について

糖尿病診療で当院の果たす役割

糖尿病の合併症には糖尿病性網膜症、糖尿病性 神経障害、糖尿病性腎症(糖尿病性腎臓病)など様々な疾患があります。なかでも当院は糖尿病性腎症の治療に力を入れています。
現在腎不全に至ってしまう原因第1位は糖尿病性腎症です。その名の通り糖尿病を原因として発症し重症化してしまう病気です。自覚症状がほとんどないため、検査を受けず放置されてしまったり、あるいは治療を中断してしまって悪化するケースも数多く見受けます。
当院では糖尿病性腎症の初期から末期までを糖尿病専門医、腎臓病専門医、糖尿病療養指導士、腎臓病療養指導士らが協力して、糖尿病性腎症重症化予防に取り組んでいます。糖尿病性腎症の重症化予防に一番大事なことは早期発見、早期介入です。

必要な時に入院をお受けしています

当院では教育入院や合併症等の理由による入院をお受けしています。 教育入院は糖尿病の基礎知識を学び、自己管理を出来るようになるためのものです。治療方法を正しく理解していただくと同時に、糖尿病や合併症などのより詳しい検査も実施するので、治療にあたっていっそう正確なデータを得ることができます。また長い間自己管理ができていない患者さんに対しては、特に食事療法や運動療法などを実践しながら学んでいただくことが大切です。患者さんが自主的に治療に取り組んでいただけるようになることを目的として、治療がうまく進んでいない理由や問題点を一緒に検討し、退院後実行可能な目標について糖尿病・腎臓病チームのスタッフと一緒に考えていきます。入院期間は、患者さんの病状に合わせて2泊3日から1ヵ月くらいとなります。また教育入院以外にも、糖尿病の方は風邪をひいたり、ちょっとしたことで具合が悪くなると入院が必要になることがあります。

前術後の血糖管理が重要です

当院の病棟では、急性期病院や当院で手術を受ける患者さんの周術期管理も行っています。糖尿病の患者さんが手術を受けられる際には、手術に耐えられる身体状況かどうか、合併症の状態を詳しく把握する必要があります。手術による侵襲やストレス、薬剤、経管栄養など様々な影響を受けて耐糖能異常がおこり、血糖値が上昇することがあります。高血糖は免疫を下げ、術後の合併症のリスクにもなります。予後に影響を及ぼす可能性もあり、管理がとても重要です。投薬の一時中止が必要になったり、新しい薬を使用する場合もあります。糖尿病チームと周術期管理センターチームが協力し、血糖コントロールや手術後のリハビリテーションなどに取り組んでいます。

チーム医療で取り組みます

一般的に、糖尿病性腎症は1期から5期にわかれており、数字が上がるほど病態が悪くなります。2期は、適切な治療そして食事や生活管理を行えば腎症を治すことが可能といわれています。逆に言えば、この時期を過ぎると、重症化を完全に押さえ込むことは簡単ではありません。  
そこで、当院では腎症の治癒を目指して全身の評価を行います。医師は血圧・血糖・脂質管理や運動の方針を計画し、日常生活の習慣を変えるための動機付けを行うよう援助します。さらに専門スタッフで課題を共有しチームで診療にあたらせていただいています。糖尿病の療養は長期にわたるため、患者さんの病気に対する思いや希望を把握することも大切です。継続して自己管理を行えるよう、こちらからの情報を伝えるだけでなく、医師の指示のもと看護師は患者さんの生活背景、近況などをうかがい、一人一人に合った指導、相談など支援をします。
糖尿病ガイドブックを使用してわかりやすく糖尿病の知識を提供したり、足病変を発見するために足先の感覚のチェックや爪切りの状態を確認するフットケアもおこなっています。また在宅での自己血糖測定やインスリン自己注射の指導もしています。運動が不足していると思われる患者さん、運動の仕方を詳しく知りたい、ご自宅でされたい患者さんには、リハビリスタッフが運動方法を説明したり資料をお渡ししています。指導の際にはいつも「出来ることから少しずつ進めていきましょう」とお話ししています。患者さんの方から「スポーツジムに行きはじめたよ」「万歩計を買ったよ」「ウォーキングを始めたよ」と教えていただけると、前向きに体調管理をして下さっていることを感じ、糖尿病・腎臓病チームのスタッフ全員がとても嬉しい気持ちになります。

無理せず規則正しい食事を

管理栄養士は、糖尿病診療ガイドラインに沿い、 体重・肥満・血糖値・活動量・年齢・性別により適正なエネルギー量を算出しています。「体重が減少しているからエネルギーUPの方法を伝えて欲しい」 「たんぱく質の取り方を教えて欲しい」と医師から依頼を受けることもあります。高齢や生活環境が原因で料理を作るのが億劫な方には簡単なレシピを提案したり、作ることが困難な方にはコンビニやスーパーでのお惣菜やお弁当の選び方を一緒に考えたり、一人一人に合った栄養指導をしています。ただ単に食事を厳重管理するのではなく、食べる順番や時間を変えたり、増やすべき、減らすべき食品を患者さんとともに把握するように取り組んでいます。そのために食日記をつけていただいたり、写真を撮ってきていただいたりして、患者さんと一緒に内容を見ながら、規則正しく、バランスの良い食事を取れるように指導を工夫しています。1番大切にしていることは、患者さんの心の状態を想像、確認しながら、無理のないゴール設定を患者さんと一緒に考えることです。管理栄養士に話を聞いてみたいと思われる方は当院の患者さんはもちろん、かかりつけ医の先生からのご紹介でも栄養指導をおこなうことが出来ます。 患者さんだけでなくご家族の方も一緒に指導に参加していただけるので、ぜひご相談ください。

薬の飲み忘れや飲み方に困ったら

薬剤師は、患者さんへ薬の効能を説明し理解を深めるように指導をしています。検査データに変化が見られない場合には、内服できていない可能性も考えられるため服薬状況の確認もさせていただきます。また、より患者さんに合う薬はないか等の相談を医師から受けることもあります。もちろん患者さんからも、よくお問い合わせをいただきます。昼は外食が多いから薬を飲み忘れることが多い、仕事中インスリンを打つのは抵抗がある、忘れてしまうから毎回きちんと打てないなど、お問い合わせの内容は様々です。薬の中には、食事の直前に飲まないと、低血糖を起こしてしまう薬や効果が弱くなるものがあり、服用のタイミングに注意が必要です。飲み忘れた際の対応については、事前に診察時に確認しておくことをおすすめします。 しかし、飲み忘れについて医師に言いづらいと思われている方いませんか。大丈夫です。ご安心ください。きちんと投薬して健康な人と同じような生活を長く送って欲しいとスタッフ全員が思っています。私たちは、無理なく治療を継続していただけるよう患者さんに合わせた方法を考えさせていただきますので、困ったことがあれば薬剤師にご相談ください。

針を毎回刺さない血糖測定があります

当院の臨床検査技師は、自己血糖測定をしている患者さんのデータ管理をしています。また糖尿病や腎臓病に重要なHbA1cやクレアチニンなどの検査値を確認し、異常値があった場合は医師へ速やかに報告し円滑に診察が出来るように働きかけています。近年糖尿病の患者さんも増え自己血糖測定を行う患者さんも当院では5年前にくらべ3倍に増えています。昔から血糖値を自己測定するためには、毎回皮膚に針を刺して血液を出して測定していただいていましたが、最近は毎回針を刺さずに血糖測定ができるFree-Styleリブレという自己血糖自動測定システムが開発され人気です。写真の様に二の腕にパッチ状のセンサーをペタっと貼り、センサーに機器をかざせばすぐに血糖がわかります。データも機器に蓄積されるのでノートに手書きで記録する必要がなくなりました。インスリン療法をおこなっている全ての患者さんが使用できます。血糖の変動を持続的にモニタリングすることで、自分の状態をより深く理解し糖尿病の管理につなげることが出来るようになります。新しい技術も取り入れ、患者さんが血糖管理しやすいようにサポートしていきたいと考えています。

もし糖尿病性腎症が悪化してしまったら

病期が進んだ糖尿病性腎症は、動脈硬化病変や心血管合併症の有無について全身評価を行い、合併症の程度や年齢などを考慮しながら、腎機能の状態に合わせて治療を行わなければなりません。できるだけ腎機能を保持するために、検査に基づき骨代謝や貧血の管理を行い、血圧・糖尿病治療薬の容量調整などを検討します。また、患者さんにご自身の腎臓の機能がどのくらい残っているかを知っていただくことも大切です。腎臓をいかに長持ちさせて快適な生活を続けていただくかを、腎臓病チームでは患者さんと一緒に考えています。しかし、腎機能が低下してしまい、やむなく透析治療や移植などを考えなければならないケースも生じます。当院には県下最大級の血液浄化療法センターがあり、患者さんの生活スタイルや仕事に応じてさまざまな腎代替療法を提供しています。

糖尿病性腎症の重症化を防ぐために

当院では、糖尿病専門医や腎臓病専門医、そして糖尿病療養指導士や腎臓病療養指導士の資格を持つ看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師などが連携し、患者さんとともにチームで糖尿病性腎症の治療に取り組んでいます。入院治療についても、地域包括ケア病棟を中心に、急性期一般病棟から慢性期病棟までを有し、ケアミックスで対応しています。糖尿病性腎症の重症化を予防するために、ぜひ早期にご相談いただければと思います。

施設認定

  • 日本糖尿病学会認定施設

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