アテツマンサク Hamamelis japonica var. bitchuensisはマンサク H. japonica の変種で、岡山県の阿哲地域（現在の新見市一帯）で牧野富太郎博士によって見出された、岡山県にゆかりの深い樹木です。ニシキマンサク H. japonica var. discolor f. flavopurpurascens は、ウラジロマルバマンサク H. japonica var. discolor の品種とされ、花弁の基部が紅色を帯びる園芸種です。アテツマンサクもマンサクも、花の形状は良く似ていますが、花の萼の部分がマンサクやマルバマンサクの仲間はふつう暗紫色ですが、アテツマンサクは花弁と同じ鮮黄色であることが特徴です。なお、マンサクとは春、他の樹木に先駆けて開花するので「まず咲く」からその名が付いたとも、枝いっぱいに花を咲かせることから「豊年満作」が由来であるとも言われます。植物園内では3月9日現在、ニシキマンサクはかなり咲いていますが、アテツマンサクはわずか2輪のみの開花となっています。（2025.3.9）

北海道から沖縄まで、日本全国（国外では朝鮮半 島、中国、台湾など）の湿地など湿った場所に生育する落葉高木です。花は1月～3月に咲きますが 、雄花と雌花は別に咲き（雌雄異花）、雄花序（左写真）は短いひも状で枝先にぶら下がり、風で揺れることで花粉を飛散させます。雌花序（右写真）は雄花序の付いている枝先に小さな赤い花序がついていますが、非常に小さく、気を付けて観察しなければ気付かないほどのサイズです。雄花序は花粉を出すと枝から落ち、雌花序は次の晩秋～初冬に松ぼっくり状の果穂となります。花粉が風で飛んで運ばれる風媒花であり、春先の花粉症を引き起こす原因の一つとして知られます 。植物園では2月19日ごろから開花を始めており、3月始めごろまでは花を観察可能と思われます。（2025.2.22）