キンカメムシの一種であるニシキキンカメムシは日本で最も美しいカメムシといわれます。ニシキキンカメムシの県内初記録は、1956年5月、阿哲地域で実施された倉敷昆虫同好会主催の採集観察会の時で、同時にこれは中国四国地域での初めての記録でもありました。
当時、全国で4か所ほどの産地が知られていましたが、いずれも生息地域は局所的で、珍奇種的存在といったこともあって、生態についてもほとんど未知の状態でした。その後の各地の観察ではオオツヅラフジに集まることや、幼虫の食樹はツゲであることなどがわかりました。いずれの生息地も石灰岩地帯の植生と深いつながりがあるようです。この美しいカメムシは、あのカメムシ独特の悪臭も出さないばかりか、作物や森林の害虫とは縁のないものです。標本にすると変色してしまいますので、生体写真も紹介します。なお、キンカメムシの仲間はどれも美しく、数は少ないが倉敷周辺でも見られるアカスジキンカメムシ、オオキンカメムシ、沖縄など南西諸島に生息するナナホシキンカメムシ、アカギカメムシなどがいます。
キンカメムシの仲間(標本) |
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▲ニシキキンカメムシ
1959年 新見市井倉 [体長 17mm] |
▲アカスジキンカメムシ
2007年 総社市日羽 [体長 16mm] |
▲オオキンカメムシ
1980年 岡山市海岸通り [体長 22mm] |
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▲アカギカメムシ
1972年 鹿児島県奄美大島 [体長 20mm] |
▲ナナホシキンカメムシ
1993年 沖縄県那覇市 [体長 18mm] |
▲ナナホシキンカメムシ
2008年 鹿児島県奄美大島 [体長 18mm] |
ニシキキンカメムシ(生時)
[安田剛長氏 提供] |
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▲5齢幼虫 |
▲羽化直後 |
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▲羽化後2時間 |
▲羽化後45時間 |
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